現在日本の高校生の大学進学率はおよそ50%で推移しています。
しかし、無事に大学に進学した高校生が、必ずしも無事に卒業できるというわけではなく、途中で中退をしてしまう人がいます。
その数は、およそ1日あたり200人で、年間で70,000人以上もの大学生が中退していると言う計算になります。
なお、大学の他にも短大や専門学校も含めると、年間で合計で10,0000人なるというデータも出ています。
大学中退者>高校中退者という統計結果
日本の学校の中退者の数について調べている日本中退予防研究所の調査によると、2012年のデータで4年生大学で年間約72,000人もの学生が中退しているという結果が出ています。
また、同じ年の短大の中退者は年間で約7,000人、専門学校の中退者は約37,000人であり、大学・短大・専門学校の年間中退者数の合計は約116,000人となっています。
ちなみに高校の中退者は1年間で約66,000人となっており、約6,000人ほどではありますが高校よりも大学の方中退する学生の方が多いと言う結果になっています。
純粋に数字だけを見ると、大学の72,000人も高校の66,000人もそこまで大差がないように感じるかと思います。
冒頭でも述べたように大学進学率が50%程度であることを踏まえると、大学進学により全体の学生数が減っているのにもかかわらず中退者の数はむしろ増加し、学生の間でより身近なものになっているという事実が読み取ることができます。
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大学中退の原因として考えられること
苦しく長い受験勉強乗り越え手にした大学合格と言うチケットをわざわざ手放してしまうのか。
大学中退者が出る理由の1つして考えられるのは、志望校選ぶときの理由が「なんとなく」で選んでいたことが原因として考えられます。
日本中退予防研究所の調査によれば、高校生の時に大学・短大・専門学校などで資格や免許を取る道を選んだ人は、中退者が少ないと言う結果が出ています。
ここで言う資格や免許を取る進路は、
- 教育学部
- 医学部
- 看護学部
- 農学部
- 工学部
といった、大学で学ぶ分野とその先にある仕事について深く結びついているものを指します。
想像してもわかるように教育学部なら学校の先生や教育産業、医学部なら医者や医療に関する研究者といった卒業後の仕事のイメージがしやすいので、途中で中退する学生が出にくいのだと考えることができます。
一方で
- 文学部
- 社会学部
- 近年新設された歴史の浅い学部
- カタカナ系の学部
に進学した学生は、中退者が多いと言う結果が出ています。
実際に文学部と聞いても、その学部を卒業した後に具体的にどういった仕事につけるのかというの高校時代から考える事は難しいものですし、就職活動においても文学部と言う学歴が重宝される…と言う事は想像しにくいものです。
また、「テクノロジー〇〇」「サイエンス〇〇」「グローバル〇〇」と言うようなカタカナ系の学部も2010年ごろから新設されていますが、珍しさこそあるもののその学部で一体何を勉強するのかがわからない。
そして、歴史が浅い学部だけに学校側も運営が手探り状態であり就職に関する十分な支援が難しいと言う点も中退者が出る要因になっていると考えることができます。
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大卒の学歴欲しさに進学する人が約7割
大学生に進学した理由を尋ねたアンケートによれば、1番多かった回答は「先行き不透明な時代だからこそ、大学と言う学歴がなければいけないと感じている」と言うものでした。ちなみに、この回答はおよそ10人中7人もの大学生が回答したという結果でした。
確かに、今のご時世では中卒や高卒企業が積極的に採用すると言う状況ではありませんし、大卒と高卒との生涯賃金を比較すれば、大卒の方が平均生涯賃金が高卒よりも多いと言う統計が出ています。
そんな世の中だからこそ「とりあえず大学ぐらいは卒業しておいたほうが将来のことを考えればいいよね…」と言う、なんとなくの理由で大学に進学する人が多いのも無理はないと思います。
しかしそのことは、高校時代に志望理由やその先の就職に関する具体的なイメージをしていなかったために、入学後に進路を間違ってしまったと感じて中退する人が後を絶えない原因になるのだとも考えることができます。
なお、実際に中退と言う形で行動に移した人が約72,000人いるということがわかっていますが、数字では見えない部分…例えば留年や休学をしている、編入している、大学院になんとなく進学しているなどの選択を取っている学生の数は決しても少なくないと思います。
大学中退者の半数以上は非正規・無職という結果も
なお、大学専門学校中退した人のうち、男性のおよそ54%、女性のおよそ63%の人は、中退後に正規の職につくことが出来ず見つからず、フリーターが無職のままと言う恐ろしい結果も出ています。
実際に中退してしまうと、大学と言う唯一の社会との接点がなくなることで、社会からドロップアウトしてしまうのも想像に難くないと感じます。
しかし、2013年の朝日新聞の記事によれば、大学中退後に再び受験をしている人が40,000人もいると言う記事が出ています。いわゆる、仮面浪人と呼ばれる人をこの40,000人の中に含まれていると見ることができます。
就職活動や転職活動では、就職希望者と会社とのミスマッチの問題についてよく話し合いが行われますが、大学進学の場合は学生と大学後のミスマッチについて語られる事はあまり無いように感じます。
これは、上でも述べているように「とりあえず大卒の資格さえ手に入ればOK」と学生、親、先生、塾などが考えているために、入学後のミスマッチについてあまり議論がなされないのだと考えることができます。
就職活動で自分に合った企業を深く掘り下げて調べるように、大学進学の際も偏差値や知名度といった断片的な情報に左右されるのではなく、自分の学びたいことや興味のある子あること、そして大学卒業後の将来についても考えた上で、進路選択をする必要があるのだと感じます。