先取り学習をするメリットとデメリット

勉強方法

ゆとり教育を反省して、いわゆる脱ゆとり教育が掲げられた学習指導要領が小学校は2011年、中学生は2012年、高等学校では2013年から始まりました。

そんな時代背景もあってか、かつてのゆとり教育のような自主性や主体性に任せた教育では物足りず、先に学校で習う範囲を先取りする、いわゆる「先取り教育」の重要性を子供も親御さんも感じているように思います。

とくに、小学生のお子さんがおり、将来は中高一貫の公立校や私立校への進学(更にはその先の有名大学への受験)を考えている場合は、今の小学校で習っている授業では受験対策は不十分だとして、先取り学習をすることで少しでも合格する可能性をあげようと考えていることもあるでしょう。

今回は、主に小学生時代に焦点を当てて、先取り学習のメリット・デメリットについてまとめました。

 

先取り学習のメリット

得意科目を伸ばしやすい

先取り学習は、お子さんの得意科目や興味のある科目で取り入れる場合、先に学習しておくことからいち早く知識を身につけやすく、学力や自信アップにつなげることができます。

国語、算数、そして英語のように、中学受験でだけでなく高校・大学受験でも大きな得点源となる科目の場合は、先取り学習は効果があると言えるでしょう。

とくに、私立の中学校では中学受験で英語の試験を選択式で選べる学校も増えており、英語を武器にして今後の進路やキャリアを考えることができるようになります。

 

予習のかわりになり学校の授業の理解が早くなる

先取り学習はなにも受験のためだけでなく、学校の授業の予習のかわりになることから、授業に対する理解を早めることができます。

とくに小学生の高学年ともなると、算数の掛け算や割り算、図形の問題(面積・体積)などの抽象的で複雑な概念を勉強する時期でもあることから、学校の授業だけではしっかり理解ができず、躓いてしまう生徒が出てくる時期でもあります。

書店で売っている学年別の教科書ガイドや、塾(個別指導塾含む)や公文、進研ゼミなどの通信教育などで先に予習替わりとして利用すれば、学校の授業の理解も進みやすくなります。

 

 

テスト・進級対策になる

先取り学習で学校の授業の理解が進めば、学校の定期テストの点数アップになります。

また、小学4年生のうちから5~6年生で習う事を先取りして勉強しておけば、進級しても躓く場面を減らして、問題なく学校の勉強についていけるようになります。

もちろん、先取りして小学生のうちに中学受験の勉強や、中学生で習う基礎的な内容まで勉強しておけば受験勉強対策にもなります。

 

漢検・英検などの資格取得につながる

小学生でも受けれる勉強に関する資格といえば、

  • 漢字:日本漢字能力検定(漢検)
  • 英語:英検、TOEICなど
  • そろばん:珠算能力検定

などがあります。

他にも字の書き方や綺麗な字を書くために書道をしたり、将来理系の高校・大学に進学することを考えているのならプログラミングを先取りして勉強しておくこともできます。

小学生のうちから教科書に載っている内容だけに絞って先取りしようとするのではなく、日常生活や今後の勉強の基礎となる知識、能力に絞って気楽に先取り学習をできるようにするのも方法の一つです。

 

 

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先取り学習のデメリット

学校の授業への興味が失われる

学校の授業でやる内容を先取りしてしまうことから、学校の授業を聞いていても「もうその内容はすでにやったから」と感じて、興味が失われて授業態度が悪化することがあります。

とくに、理科の実験のように実験することで、どんな発見や反応があるか調べる授業だと、先取り学習のせいで実験の結果をすでに知ってしまい、実験することの楽しさが失われてしまうこともあります。

まるで手品師のタネを知っている視聴者のように、なんでも先取りしてしまうことは、自分から楽しむ機会を失うことだと見ることもできます。

 

なお、先取り学習をしているので授業態度の割にはテストの点数は良いことがあるので、先生からすればめんどくさい生徒、態度が気に入らない生徒だと思われて目をつけられてしまうこともあります。

また、学校の授業が退屈だと感じて、代わりに内職として塾の宿題をしようものなら、先生から問題視される可能性も否めません。

 

勉強量の増加による精神的な負担

先取り学習は、普段の学校の勉強と先取り分の勉強との並行して進めるのが基本です。

そのため、子供にとっては遊びや余暇の時間が削られたことでストレス抱える原因となること主あります。

また、学校と塾の他にも他の習い事やスポーツなどで拘束される時間が多いと、その分息抜きする時間が減るので、ますます精神的に追い詰められやすくなります。

 

親のために勉強をする子供になってしまう

先取り学習をするかどうかは、実際に子供だけで判断することは難しものです。先取りするための参考書や教材、塾などを選び与えるためには必ず親が関わるものです。

また、親からすれば自分の子供が勉強に積極的な姿勢を見せたり、先取りしていい点数、成績を出したらさぞ嬉しいことでしょう。

しかし、その嬉しさは場合によっては子供にとってプレッシャーとなることもあります。

先取り学習含めて小学生の頃に勉強に打ち込む子供には自分が学びたいからではなく「親が喜ぶから」という理由で勉強に打ち込まざるを得ない子供もいます。

「親が喜ぶから」と聞くと親孝行で小学生にしてはとても立派な理由だと感じる人が多いですが、一方で勉強をする目的は自分の将来や自分自身のためではないと感じることで勉強につまづきやすい考え方です。

親が勉強をするのが当たり前だと考えるようになったり、他の兄弟の方に親の関心が移って褒められなくなると、簡単に心が折れて勉強する目的を失ってしまいます。

また、親のために勉強していい中学に進学したものの、進学先で燃え尽き症候群になってしまい勉強どころではなくなってしまうこともあります。

 

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先取り学習の導入は慎重に行う

勉強にしろスポーツにしろ、なんでも早い内にやっておけばその分同年代との差を突き放して有利に立てるという考え方で、先取り学習に熱心になっている親御さんは多いものです。

とくに、受験よりもその先の就職や仕事についてまで考えているご家庭だと「若いうちからなんでも経験を積むのが良いこと」というごくありふれた考えから、勉強や習い事などに熱を上げて、それに必死に答えているお子さんが多いものです。

 

しかし、若いうちからなんでも経験を積ませれば、その分心身にかかる負担は大きくなり、場合によっては一生ものになる傷を負うこともあります。

例えば、リトルリーグ(小学生野球)に熱心になりすぎた結果、肘や肩を壊してしまい二度と野球ができない体になってしまう子供がいるように、例え小学生であっても無理をすればその後の人生に支障が出てしまう傷を負ってしまいます。

これは勉強も同様です。勉強はスポーツと違って、肘を壊して痛いとか、骨が折れて動けないなどのわかりやすい怪我や痛みは、まず出ないのでつい無理をさせてしまいがちです。

加えて勉強で重ねた無理は、主にメンタル面(朝起きれなくなる、食欲不振)などの、勉強とは直接的な関係がわかりづらい形になって出てくることが多いでの、無理している状態に親も子供を自覚できず、つい無理が重なり深刻な状態になるまで進行しやすいものです。

 

ですので先取り学習を取り入れるときは、なるべく無理な負担がかからないように、慎重になって進めることを心がけましょう。

もちろん、先取り学習が途中で無理だと感じたら、潔く諦めて普段の勉強に戻すのも懸命な判断と言えるでしょう。

 

 

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written by
勉強の知恵袋 編集部

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