中高一貫校における中だるみ問題について

中高一貫校

高校受験がなくそのまま進学できるのが魅力の中高一貫校では、いわゆる勉強含む学校生活全般へのモチベーションが下がる「中だるみ」が長期化する懸念があります。

とくに最近では公立の中高一貫校が増えており、教育費が足りず私立の中高一貫校を断念せざるを得なかった家庭でも、中高一貫校へ進学することができる時代とも言えます。

中高一貫校に入学しやすくなった現在だからこそ、入学前に志望校で中だるみを防ぐための取り組みを調べておく。また、もしも中だるみが起きた場合、学校で行われているメンタル面のケアや学力面でのサポート体制などについて、親子ともども詳しく知っておくことは重要といえます。

今回は、そんな中高一貫校における中だるみ問題について、まとめました。

 

中高一貫校における中だるみの特徴

中高一貫校における中だるみは、単に高校受験がないことだけでなく

  • 中学受験の反動で燃え尽きてしまう
  • 周囲の学力や意識レベルが高すぎて挫折してしまう
  • 進学による人間関係の変化もない
  • (中学と高校が近くにある場合)環境の変化がない
  • 中高一貫校に入学したことで親が油断して放任主義になる
  • 高校受験がない分、部活に打ち込みすぎて勉強が疎かになる

などが原因となって起きます。

今や公立の中高一貫校であっても、学費の安さと進路実績、カリキュラムが魅力的などの理由で倍率は都市でも地方でも高く推移しています。

受験(適性検査)に合格するために小学校低学年のうちから塾や通信教育に通わせている家庭もあるために、その反動からくる中だるみの試験をくぐりぬけてきた人なら誰でも起きうると言えます。

 

中だるみは早ければ中学2年生の頃から始まり、大くは高校1、2年生までには直るのが一般的です。しかし、人によっては高校3年生まで続く場合もありますし、途中で不登校や退学になるケースもあります。

高校受験がないために本来ならば中学3年生になって進路を考え始めたことで、たるんでいた気持ちの引き締めもできるのですが、前述のように中高一貫校ではこのような引き締めが起きにくく長期化を招くのです。

また、学校内で中学と高校での教師間の連携がうまく取れていなければ、中学で中だるみした生徒を正したり刺激を入れる機会がなくなり、これも中だるみの長期化させる原因となります。

 

なお、ちょうど14歳頃の子供は、いわゆる思春期で親や大人から精神的な自立をするために反発したり、勉強や受験などの社会から求められている役目に対して反抗する時期でもあります。

そういう意味では中だるみそのものは、子供の自立心や主体性、自分で自分の将来を考える大時な時期でもあり、頭ごなしに否定して勉強にしっかり打ち込めるようにすべき…と、いうスタンスで指導するものではないという見方もできます。

しかし、かと言ってなんでもかんでも子供の自主性に任せっきりにして、学校の勉強についていけなくなったり、いじめや非行、少年犯罪等に手を染めるようなことがあってはなりません。

 

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中高一貫校を受験する場合は中だるみ策もよく調べておく

中だるみに関する記事でも触れていますが、よくある中だるみ対策としては

 

  • 全国模試を活用する
  • 学校外で活躍している人を招いて講演を行う
  • 志望校のオープンキャンパス、学園祭に参加する

などがあります。

これに加えて中高一貫校の場合は、

  • 中学生・高校生とで連携をした取り組み、学校行事を行っているか。
  • 中だるみが起きやすい中学生中盤~高校生中盤までに進路や将来に関する指導が行われているか。
  • 中学と高校との教師間で、中だるみを防ぐための情報交換や話し合いをしているか。

などの中だるみ予防のための、取り組みが行われているかについて、調べておくのが効果的です。

 

中高一貫校はなんといっても一貫校だけあって系列中学高校間で勉強、部活、生徒会を行うなどの連携した活動を行えるのが魅力的です。

とくに文化祭に足を運ぶ機会があれば、催し物がただ先生から言われたことをやっているだけものとは異なるか。自分たちで予算を立てたり地域の人に協力を得るなどの、必要な準備を生徒主体で行っているかについて見てみるのがいいでしょう。

学校行事を成功させるためには、自分を適度に律する力や生徒同士協力してフォローしあう力が求められます。これは、中だるみによって馴れ合いが起きている生徒が手動していては到底不可能です。

また、各教師間の連携やカリキュラム内で中だるみが起きやすい時期にイベントがあるかどうかについて調べてみるようにしましょう。もしも可能であれば、学校説明会にて直接質問したり、ホームページや掲示板、卒業生への聞き込みなどで調べてみるといいでしょう。

 

 

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全寮制の学校で中だるみを防ぐことも

学校によっては全寮制の中高一貫校もあります。親元を離れて寮生活を送ることで、自分のことは自分で行う、同年代の集団の中で生活するというで自分を甘やかせない環境に身を置き、誘惑を断ち切ることで中だるみの予防が可能です。

寮によっては起床・就寝時間が決まっており、寝坊・夜更かしを防いで自分で学校に通える生活リズムを養ったり、携帯電話・スマホ・ゲームなどの持ち込みを禁止して、この時期に多いスマホ・ゲーム依存を防ぐルールで寮を運営しているところもあります。

 

なお、全寮制の中高一貫校の数そのものは少なく、なかなか候補としては上がりにくものではありますし、場合によっては自分の住んでいる都道府県を離れた生活になることもあります。

しかし、自分の住んでいる地元を離れることで、自分の地元を客観的に見る能力であったり、学校がある地域の人や自然との交流を重ねて、自然科学や産業について考える力を養うこともできます。

とくに、地方の中高一貫校は地方のならではの自然や産業を生かした寮生活やカリキュラム、そして勉強・進路指導で成功しているケースもあるので、もし興味があれば検討してみるのもいいでしょう。

 

 


参考書籍