公立中高一貫校は公立校で学費が安く、6年間しっかり勉強指導をしてくれるので、今までなら私立を断念していた家庭でも受験しやすい学校です。
しかし、適性検査はただ教科書の内容を暗記すれば解けるような問題ばかりでは構成されておらず、教科書で学んだ知識を自分の言葉で説明するアウトプットの力が試験では求められます。
そのため、ただ塾や通信教育の勉強さえさせておけば、合格する確立が上げられる…という試験ではないことを念頭にいれて、受験に向けて勉強していくことが大事です。
今回は、公立中高一貫校への受験対策としてできる家庭学習や普段から気をつけておくべきことについてまとめました。
公立中高一貫校の入学試験は暗記だけでは解けない
公立中高一貫校における入学試験は適性検査と呼ばれていますが、検査そのものはペーパーテストや面接を行うのが普通であり、私学や国立中学校の入学試験と大差はありません。
しかし、出題される問題の性質は、付け焼刃の知識や暗記で解けるようなものではありません。
なおこれは、試験が知識や暗記の力に偏っていない分、偏差値が高かったりや勉強ができる子供でなくても、合格できる見込みがある考えることもできます。丸暗記や暗記科目の苦手でも受かる見込みがあるとも言えます。
問題のレベルは基本的に小学校の教科書から逸脱しない範囲で行われており、基本的には小学校の範囲で習った知識を応用する力が問われます。
なお、志望する学校によりけりですが、適性検査では大きく分けて
- 筆記試験
- 作文(小論文)
- 面接
の3種類の試験の成績から総合的に判断され合格、不合格が決められます。
作文(小論文)では普段から自分で文章を書く技術、面接では考えていることを言葉にして伝える力、人前で話ても緊張しない落ち着きなどが求められます。
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公立中高一貫校への受験対策としてできる家庭学習
新聞や本などで長文を読む習慣を付ける
適性検査の筆記試験では、ただ出題された問題の答えを反射的に解答するのではなく、長文を読んでそこからわかることを答えたり、グラフや資料を見て読み取れることを答える問題がよく出題されます。
対策としては、子供向けの新聞や本、図鑑などで長文を読む習慣を身に付けておく、グラフや資料を読む習慣を身につけることになります。
なお、練習用に読み解くグラフや資料などは
- 住んでいる都道府県の人口や産業に関するデータ
- 子供の好きなスポーツ選手の競技データ
- 子供の好きなゲームキャラのステータス
など、何かしら子供自身に関連のあるものと結びつけることで、ただグラフにある数字が空想や教科書上のものではなく、より身近で親しみがあるものだと感じて理解がしやすくなります。
漢字をしっかり勉強しておく
作文や文章問題が出題される場面で、漢字の書き間違いや小学6年生の段階で習っているはずの漢字がかけないというケアレスミスで減点を受けるのは非常にもったいないミスです。
漢字ドリルや漢字検定などを用いて、小学生で習う漢字を止め、はね、はらいしっかり書ける。書き間違いなく書けるように毎日コツコツ勉強をしておくようにしましょう。
なお、勉強していく中で漢字検定で5級(小学校6年生終了程度)やそれ以上の級に合格できれば、そのことを題材にした作文を書いたり、面接で受け答えできるよいうメリットもあります。
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地域の活動を通して幅広い年代の人と話す経験をする
当然ながら面接で受け答えをするのは大人です。
子供からすれば親や親戚以外のはじめて合う大人相手に、緊張せずしっかり受け答えできるかどうかが面接を成功させるカギとなります。
対策としては、町内会活動や地域清掃、地元で行われているお祭りの運営に参加したり、地域のスポーツ活動に参加したりして、幅広い年代の人と話す経験を積むことが効果的です。
もちろん、塾で行われている面接対策講座を受講するやり方でもOKですが、子供自身のコミュニケーション能力や幅広いバックグラウンドをもつ人と話す経験を積む意味でも、地域の人と交流しておく意味はあります。
時事ネタをただ追うだけでなく、感じたことを実際に話してみる
面接や作文では、社会情勢や時事ネタを題材にして、あらゆる問題が出題されることがあります。
例えば、東日本大震災を題材にした問題を作るにしても
- 震災復興
- ボランティア活動
- 環境問題
- 風評被害やいじめ問題
- 電力・エネルギー問題
- 被災者への精神的なケア
などの問題を作ることができます。
ただ、ニュースや新聞で時事ネタを追うばかりではなく、知ったニュースに対して自分はどんなことを感じたのか、他の人はどんなことを考えたのかを家庭内でも話あって考えを深める機会を作るようにしましょう。
子供自身の言葉で話せるトレーニングを普段から行う
面接対策としてよく親や塾が「この質問が来たらこう答えるんやで!」と、一問一答を教え込むことがありますが、この方法は事前に練習で聞かれていない問いが出ると全く答えられなくなるのでオススメできません。
たとえ小学生相手の面接であっても、問題や質問を出す側は一人の人間として、考えたことや感じていることを自分の言葉で話せるような子供かどうかを必ず見ています。
そのためには、普段の会話の中で子供自身が考えたことや感じたことを話せる機会を増やすことが重要です。
- 今日学校でどんなことがあったか。
- そのことについてどう感じたか(嬉しかった、悲しかったなど)
など、些細なことからでもいいので、しっかりと子供自身の言葉で話すことができるように、親子で会話をする機会を作って、自分の言葉で話す事への苦手意識を育てるようにしましょう。
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過去問から問題構成や傾向チェックをしておくも大事
家庭でできることをしておくことも大事ですが、それと同じぐらいに志望する公立中高一貫校の過去問をチェックして、問題構成や問題の傾向を調べて心の準備をしておくことは重要です。
過去問は学校のホームページに掲載されていたり、いわゆる赤本として書店で売られている場合もあり簡単に入手することができます。
なお、赤本を使う場合は、ただ問題の正解・不正解をつけて一喜一憂するだけではなく、解説を読み込んだり、赤本や解説に載っている問題出題者の意図や伝えたいことまで目を通して置くことも大事です。
公立中高一貫校は出来て歴史が浅い学校が多く、歴史が浅い分ただ受験勉強や学校の勉強だけができる子供ではなく、世界に目を向けて活躍することを考えている子供、衰退する地域社会に貢献できる子供など、変化の激しい今の時代ならでは子供を求めているというメッセージを試験に込めています。
このメッセージをしっかり理解しておくことこそ、目指している志望校合格には欠かせないことなのです。