公立中高一貫校の適性検査(入試)では、検査当日のペーパーテストや面接だけでなく「報告書」と呼ばれる書類が求められます。
報告書に載っている小学校の成績が点数化されて載っており、検査における合否を大きく左右する材料の1つとなっています。
報告書とは
報告書とは、高校受験や大学受験で言う内申書、調査書と言っても良いでしょう。
報告書は公立中高一貫校を受けるときに提出を求められ、合否の判定材料として扱われます。
報告書には、小学校時代の各教科の成績だけでなく、学校生活全般における態度、課外活動(委員会・クラブ活動・漢検、書道などの資格取得など)も書かれ、合否に左右することがあります。
ただし、点数化されるのは各教科の成績のみであり、学校での活動や経歴など点数化されません。
報告書は一般的に小学校5~6年生まで(学校によっては4~6年生まで)の教科ごとの成績を点数化し、当日のペーパーテスト・面接と合わせて合否を決める材料となります。
なお、国語・算数・理科・社会のように中学受験で扱われる科目だけでなく、図画工作・音楽・体育・家庭科などの、一般的な中学受験とは直接関係のない科目が合否の判断材料として扱われるのが、公立中高一貫校の入試の特徴といえます。
なお、報告書を作成するのは小学校の担任の先生が記入したあと、複数の先生がチェックした後に、校長が承認するという形式になっています。
しかし、1人でクラスを担当している場合、成績を決めている担任の先生の主観が成績に入り、「学校の成績が担任に左右→報告書もそれにしたがって左右される」と言う問題もあります。
報告書の配分の目安
適性検査における比重は約2割~3割程度となっています。
ペーパーテスト、面接、報告書の3種の合計が1,000点とした場合、報告書は200点から300点ほどを占めるので、甘くみてはいけません。
また、報告書はペーパーテストのように一発勝負で決まるものではないので、普段の学校生活の中でコツコツと努力を積み上げていくことが重要になります。
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学校の成績だけでなく授業態度が報告書のカギとなる
小学校の成績はテストの点数だけでなく、関心・意欲・態度などを総合的に見て決められます。
そのため、
- 忘れ物や遅刻が多い
- 授業を真面目に聞いていない。
- 授業中に内職をしている。
- 小テストの点数が悪い。
- 提出物を締切内に出せない。
- 宿題をきちんとやってない。
などのテスト以外で問題を起こしていると、「成績の悪化→報告書の悪化」となる恐れがあります。
また、授業の成績はその性質上短期間で大幅に改善したり「忘れ物さえしなければ大丈夫」というような単純な問題ではないので、公立中高一貫校の受験を考えているのであれば、なるべく早くから生活改善や授業態度の改善を地道に進めていく必要があります。
なお、公立中高一貫校を志望にあたっては、塾で受験勉強を優先するあまりに学校の授業を疎かにする癖がついてしまうと、学校の成績に支障が出るのは言うまでもありません。
受験一辺倒の生活に陥らないように、塾と学校とのバランス感覚に気をつけることが望ましいといえます。
授業態度が報告書がよければ受験するチャンスはあるが、倍率は高め
報告書の比重が高いと言う事は、言い換えれば「テストの点数や中学受験に必要な科目以外の強みや個性を持っている子でも公立中高一貫校に受かる可能性がある」と言う側面があります。
しかし、一方で多くの子供にチャンスが与えられる分、公立中高一貫校は倍率が高くなりやすく、5倍、10倍近い倍率の中で激しい競争をする羽目になると言う側面もあります。
また、公立中高一貫校は、
- 私立の中高一貫校と比較して学費が安いこと
- 私立の中高一貫校に見劣りしないカリキュラムや進学実績があること
- 新設校の場合なら学校の施設、設備、教育環境が新しく充実していること
- 多様な背景を持つ家庭の子が入学を希望し、多様な価値観の中で成長していける可能性があること
などの、一般的は公立校には見られない魅力があり、競争が激化しやすいという背景があります。
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報告書を良くするためには小学校4年から受験を意識
報告書が求められる性質上、私立校とは違い普段の学校での積み重ねが大きな材料となります。
受験を意識しだす時期が遅くなれば、その分報告書を良くするだけの準備ができず、不利な状況の中で適性検査を受けなければいけなくなります。
公立中高一貫校志望する場合、まずは塾や通信教育を受けることよりも、普段の学校の成績や授業態度などをチェックしてコツコツと積み上げて行くことが大事です。
一般的な報告書が小学校5~6年生までの期間を対象としているので、目安としては小学校4年生頃から親子揃って授業態度や成績をチェックし、成績をあげるために予習・復習・先取り学習・家庭学習・生活改善を行うのが重要です。
もちろん、報告書を良くするために行ったことが、結果として受験勉強に必要な基礎学力の底上げや自学自習習慣の獲得につながったのであれば、公立中高一貫校だけでなく私立校や国立校の受験も視野に入れておくのも方法の1つです。
中高一貫校は私立受験をメインにしている子の併願校として扱われることも多々あるので、4年生のうちから中高一貫校だけに志望校を絞らず、他の学校も調べて総合的に判断してから志望校を選ぶのでもいいでしょう。