仮面浪人はなぜ「裏切り」扱いされるのか

浪人生

第一志望の大学に合格できず、仕方なくランクを下げて滑り止めの大学に入学して通っている。

しかし、本心はというと、第一志望を諦められず、(一応は)所属している大学に籍を置きながらも、来年度は第一志望合学を目指して「大学生」と「浪人生」の2つの仮面をかぶる生活を、仮面浪人と呼びます。

仮面浪人は、現在通っている大学をいずれは捨てて、しかもより偏差値が高く、世間的に見ても有名な大学へ入学することから「仮面浪人は裏切り行為である」と揶揄されることもあります。

では、この「裏切り」とは具体的に誰や何を裏切っているのか…について今回はまとめました。

 

 

仮面浪人が「裏切り」と呼ばれる理由

大学で出来た友達をいずれリセットすることになりがちだから

仮面浪人といっても、大学に入学した以上は適度に交友関係を持ち、それなりに大学生活を謳歌することも多いものです。

仮面浪人は、もしも来年度の受験も失敗してしまった場合は、潔く入学した大学の学生としての生活を送ると言う保険をかけた生活であるので、交友関係をゼロにするのは、失敗したときに大きなリスクとなり自分を苦しめることになります。

来年度もまた第一志望に落ちて、完全に孤立したままの惨めな大学生活を送るようなことにならないためにも、とりあえずは自分が仮面浪人をしていると言う事実を伏せて、友達を作っておくという打算が、仮面浪人が忌み嫌われている理由のひとつでしょう。

 

しかし、もしも入学を希望していた第一志望に合格できてしまったら、大抵は今まで築いていた友達関係をリセットして、新たな大学で充実した友達関係を作ることなります。

こうなると、仮面浪人時代に作っていた友達はあくまでも、受験がうまくいかなかった買ったときの保険でしかなかったと暗にアピールしていることになります。

また、より上のランクの大学に入学した場合は、今まで付き合っていた友達を見下した上に、上のランクの大学に入学した薄情者である、と言う目で見られてしまう恐れもあります。

友達を人ではなく保険のようなモノ扱いした挙句、用が済めば簡単に関係を絶つと言う自己中心的さが、仮面浪人が裏切りと呼ばれる理由の1つです。

 

 

親や先生などの大学入学を喜んだ人に嘘をつくから

親や親戚、学校、塾の先生、先輩や後輩などから、たとえ第一志望の入学が叶わなくとも滑り止めの大学に受かったと言うことで、それなりの祝福を受けるものです。

しかし、1年後にその祝福をなかったことにして別の大学に入学を決めると言う行為は、せっかく祝福してくれた人たちの気持ちを裏切ることと言っても過言ではありません。

もちろん、仮面浪人でも本当に行きたい大学に行けたことで肯定的な目で見てくれる人もいるかもしれませんが、中には「せっかく応援したのにその思いを無駄にしやがって…」とショックを受ける人も出てくるものです。

特に、親から学費や生活費を受け取って仮面浪人をしていたとなると「今まで費やしたお金をは一体なんだったの?」と言う、真っ当な意見を言われることもあります。

このように、応援してくれた人の好意や善意に対して仇で返す行為が「裏切り」と表現されてしまうのです。

 

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大学の教授や先輩の好意に背くことになるから

一応は大学生としての生活を歩むために、大学の教授や先輩から入学時に新入生歓迎会で祝ってもらったり、履修登録やサークル案内などのサポートを受けることがあります。

もちろん、教習や先輩から見れば「この新入生は普通の大学生として過ごすんだろう」と感じており、まさか今目の前でサポートしている新入生が仮面浪人だと考える事はまずありません。

もちろん、仮面浪人を計画している新入生のほうも、「せっかく良くしてもらっているのだから、それに対して『私は仮面浪人なので放っておいてください』とはいいにくい…」という気持ちになります。

自分は仮面浪人であると言う正体を隠して、表面的には所属先の大学生と言う仮面をかぶった生活をしばらくの間は送ることになります。

ですが、もしも第一志望の大学への入学が決まれば、今まで良くしてもらった教授や先輩の好意を不意にして、新たな大学へと移り住むことになります。

こうした好意に背く事こそが、裏切りと呼ばれる所以なのです。

 

 

偏差値が上の大学に乗り換えるので、内心は見下しながら付き合っている事となってしまうから

上でも触れましたが、仮面浪人の大半が今自分が所属している大学よりも上のランクを志望して浪人生活を送ります。

その事は言い換えれば、今自分が所属している大学そのものや大学の関係者を見下している事になります。

もちろん、あくまでも所属先の大学生としての仮面をかぶっている時は、自分が仮面浪人であることをは口にはしませんし、ましてや内心は見下しているという事は口が裂けても言えるものではありません。

 

仮に見下した姿勢を取ろうものなら、もしも第一志望に合格できず、渋々所属先の大学生としての生活を送らなければ行けなくなったときに、今まで見下してきた人たちに合わせる顔がありませんし、何より見下してきた人と同列になると言う事実に精神的な苦痛を感じてしまいます。

そして、見下してきた態度を取っておきながらも結局今の大学に居続けることを選んだときに、「自分で内心を見下しておきながら、志望校に抜かれなかったので擦り寄ってきて…今更どの面下げてきやがるんだ」と感じる人が出てきても無理はありません。

特に学歴に関するコンプレックスは根深い問題であり、そのコンプレックスを刺激するような仮面浪人と言う存在は、非常にめんどくさく場合によっては他人の神経を逆撫でしかねない存在となりうるのです。

 

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仮面浪人は大学乗り換え後も苦しみがち…

このような複雑でかつ、あまり人には言えない悩みのために、仮面浪人生活はオススメできるものではありません。

また、無事に志望校に受かったとしても、自分が仮面浪人生活を送っていたと言うことを新しい環境では中々うちあけにくく、新しく入った大学でも人間関係に苦労しやすい懸念もあります。

自分が仮面浪人であったことを伏せたいが為に、過去の交友関係を聞かれることを嫌がったり、仮面浪人ではなく普通の浪人生だったと自分の過去を偽って生活を送るとなれば、自然と友達関係に対して距離感をとってしまい、孤立することが多くなります。

また、親や先生に対してもどこか引け目のような気持ち、せっかく応援してくれたのにそのことを裏切ったと言う申し訳のなさを感じてしまい、どこか余所余所しく接してしてしまったり、大学に関する話題は地雷になり、コミニケーションがうまく取れなくなることがあります。

また仮面浪人で成功した自分自身も「周囲を裏切ってまで大学を変えた」と言う事実に対して罪悪感のような気持ちを感じており、楽しいはずの志望校の生活がどこか空虚なものに感じてしまうことがあるものです。

もちろん、うまく気持ちを切り替えて新しい大学生活を送っていけるに越した事は無いのですが、なかなかうまく気持ちの切り替えができず、もともと所属していた大学で感じていた惨めさを繰り返すと言うことが、仮面浪人ならではの辛さとも言えます。

 

 

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written by
勉強の知恵袋 編集部

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